よくこんなことを耳にしませんか。
黒字でも倒産するが、赤字続きでも倒産するわけではないと。
東京商工リサーチの用語辞典には次のようにあります。
「倒産とは、企業が債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態を指します。」
これは、事業活動を続けるためには支払いができるようにお金が途切れないことが必要ということです。そこで具体的にいくら要るのかを、経常運転資金とつなぎ資金を見ながらザクッとつかんでみましょう。
■経常運転資金■

建設業は基本的に次のようなお金の流れになります。
[工事受注(請負金額確定)]→[材料仕入・外注等の手配]→[工事着手]→[仕入外注費等の支払]→[未成工事支出金]→[完成・引渡]→[売上請求]→[売上入金]
****************[どこかで人件費・光熱費・家賃等の費用の支払いが生じる]************
売掛け・買掛けの取引では入金の時期と支払いの時期がずれているので、工事費用だけでなく、営業するならば必ず生ずる費用も含め、支払いができなくならないように手元資金を準備しておく必要があります。これが[経常運転資金]です。
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経常運転資金として実際に必要な金額は、次の式で表されます。
[*1 売上ではあるがまだ入金されていない金額]+[*2 工事の途中にあり、工事のために投入した金額の合計や原材料など在庫]ー[*3 工事の費用で支払いがまだの金額]
[*1 売上ではあるがまだ入金されていない金額]・・・まだ現金になっていない状態
[*2 工事の途中にあり、工事のために投入した金額の合計や原材料など在庫]・・・投入した分が戻ってきていない状態
[*3 工事の費用で支払いがまだの金額]・・・まだ支払われずにいられる状態
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これはいつもの事業を続けるために必要な資金のことで、建設業以外の殆どの事業にもあてはまります。
この場合の式は、
[*1 売上ではあるがまだ入金されていない金額]+[*2 在庫品]ー[*3 仕入れの支払いがまだの金額]
■つなぎ資金■

つなぎ資金は経常運転資金とは異なり、特定の工事に限定した短期の運転資金のことです。この工事の支払いが、一定期間先の売上入金日より前に生じるので、その間を立替えでつなぐ資金です。
「つなぎ資金」は例えば、工事の請負金額が通常よりもかなり大きく工期も長く、その入金までに必要な工事の支払いが経常運転資金では対応できないような規模の工事に適しています。(※工事以外にも使えます。)
つなぎ資金の計算式は経常運転資金の計算式と同じです。
[一定期間先に売上となる工事代金]+[工事の途中にあり、工事のために投入した金額の合計や原材料など在庫]ー[工事費用で支払いがまだの金額]
ただここには、この特定の工事とは関係ない費用、営業するならば必ず生ずる費用の支払いは考慮しません。
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そして「つなぎ資金」を金融機関から借入れる場合には、次の2つが大事です。
・資金の使い道はこの工事に必要な支払いのみであること(※他に使うと重大な違反に!)。
・この売上入金による返済が確実であること。
まず工事の真実さを証明する工事契約書等の原本を提示しなければなりません。そして返済を確実にするために、売上の入金口座を、借入れた金融機関の口座に限定します。
この工事における詳細な入出金管理により、立替えでつなぐ資金の実態を裏付ける資料を作ることも必要です。
いかがでしたでしょうか。
事業の目標を達成するには事業を続けていくことが大事です。せっかく建設業を創業された(る)のだから、建設業にかける目標や思いを実現していただくために、例えば今回の経常運転資金・つなぎ資金が、早めに気づき手を打つきっかけになってくれたら本当にうれしいです。